痴漢遭遇・目撃時の対応方法
目次
1.痴漢被害を防ぐために
痴漢被害は、一度遭遇するだけでも被害者の心に大きな傷を残すこともある、重大な性犯罪です。
だからこそ、本当に大切なことは痴漢被害を未然に防ぐことです。
防犯意識の高さをアピールする
防犯グッズ(防犯ブザー、バッジなど)を周囲に見えるように身に着けることで、防犯意識の高さをアピールし、自分自身や周囲の人に対する痴漢を未然に防ぐ効果が期待できます。
また、痴漢が発生してしまった後でも、これらのグッズが加害者の目に入り、加害行為が止まる可能性があります。
- たとえばこんな行動
- 防犯ブザーを周囲から見える位置につける
- 痴漢を許さない旨のメッセージを記したグッズを周囲から見える位置につける
- スマートフォンに防犯アプリをダウンロードし、画面を周囲に見えるようにしておく
痴漢の発生しやすい場所を避ける
痴漢加害者は、「見られる」ことを恐れています。怪しい動きに「気づいている」ことを視線で示すだけでも、痴漢をやめさせる効果があります。
どこにいれば安全とは一概に言い切れませんが、混んでいる車両や、乗降のしやすいドア付近は犯人にとっても痴漢行為がしやすい環境である可能性が高いです。
これらの場所は極力避けましょう。
- たとえばこんな行動
- 電車に乗るときは混雑している車両やドア付近を避ける
- 暗い道、人通りの少ない道を避ける
周囲に気を配る
自分が被害にあわないためだけでなく、周囲の人の被害を防ぐためにも、周囲に気を配るようにしましょう。
もし疑わしい行動を見かけたら、下記で紹介している「さりげない行動」をうまく活用し、痴漢被害を未然に防いでください。
- たとえばこんな行動
- 時々視線を上げ、周囲の様子を見回す
- 疑わしい行動をしている人に目を向ける
- 「さりげない行動」によって、疑わしい行動をしている人と狙われている人を引き離す
- 「さりげない行動」によって、疑わしい行動をしいる人と狙われている人に注意を向ける
2.痴漢被害にあってしまった・目撃してしまったら
痴漢被害にあってしまった時、痴漢被害を見てしまった時は、落ち着いてその場で自分にできる行動を取りましょう。
確証が持てないときや、直接的な行動を取ることを躊躇してしまう場面では、「さりげない行動」で加害行為をやめさせることもできます。
さりげない行動
防犯意識の高さをアピールする
防犯グッズ(防犯ブザー、バッジなど)を加害者に見せるだけでも、加害者への威嚇の効果が期待できます。
- たとえばこんな行動
- 防犯ブザーを加害者に見せる
- 痴漢を許さない旨のメッセージを記したグッズを加害者に見せる
- スマートフォンに防犯アプリをダウンロードし、画面を加害者に見せる
加害者に視線を向ける
痴漢加害者は、「見られる」ことを恐れています。怪しい動きに「気づいている」ことを視線で示すだけでも、痴漢をやめさせる効果があります。
- たとえばこんな行動
- ◯共通
- 加害者の顔をじっと見る
- ◯目撃者
- 加害者の近くの座席に座り、加害者に視線を向ける
- 加害者の傍に立ち、加害者に視線を向ける
身体を動かす
ちょっとした身体の動きで加害者に「気づいている」ことを示したり、加害者の注意をそらしたり、加害者との間に物理的な距離を取ることが可能です。
- たとえばこんな行動
- ◯共通
- 手荷物でガードする
- 手荷物を持ち換え
周囲の注意を引く
周囲の目が被害者に向けば、被害に気付いて行動してくれる確率が高まります。その場の状況に合わせた行動で周囲の注意を被害者に向けてください。
共通
- たとえばこんな行動
- ◯共通
- わざとペンやハンカチなどの小物を落とし、しゃがみこんで拾ってみる
- 具合が悪いふりをしてその場にしゃがみこんでみる
- スマートフォン等を使い、着信音などの音を鳴らしてみる
- 防犯ブザーを鳴らす
- 防犯アプリの痴漢撃退機能や防犯ブザー機能で音を出す
被害者に話しかける
痴漢は一人でいる被害者を狙うことが多いため、周囲の方からの被害者への声掛けは、加害者への強力な牽制になります。また、周囲の注意を引いたり、被害者を加害者から遠ざけるといった有効な対応に繋げやすくもなります。
- たとえばこんな行動
- ◯目撃者
- 「具合が悪そうですが、大丈夫ですか?」と声をかける
- 「お困りのようですが、大丈夫ですか?」と声をかける
- 知り合いのふりをして「○○さん、おはよう!」「久しぶりだね!」「次の駅で降りよう」などと声をかける
被害者を加害者から遠ざける
被害者が困っているようだったら、加害者との間に物理的距離をとれるように手助けすることが可能です。
- たとえばこんな行動
- ◯目撃者
- さりげなく立ち位置を交換する
- 被害者と加害者の間にさり気なく割り込む
- 被害者が加害者から離れられるように道をあける
- 自分のほうへ呼び寄せる
- 被害者と加害者の間にわざと物を落とし、「すみません」と言いながら拾う
- 公共交通機関の中であれば、「良かったら座りませんか?」と言いながら被害者に席を譲る
- 公共交通機関の中であれば、「具合が悪そうなので、次の駅で降りましょう」「そろそろ駅に着くから、移動しましょう」と声をかけ、被害者を電車の降り口近くに連れていく
少し頑張れそうなら...
周囲に助けを求める
- たとえばこんな行動
- ◯共通
- 防犯アプリの痴漢撃退機能や防犯ブザー機能で音を出す
- 防犯ブザーを鳴らす
- スマートフォンの画面に助けを求めるメッセージを表示し、近くの人に見せる
- 電車内の非常用通報ボタンを押し、乗務員に痴漢被害があったことを知らせる
- ◯被害者
- 防犯アプリの画面を近くの人に見せる
- 「痴漢です!」と声を上げる
痴漢行為を止める
痴漢の被害に遭った時に最も基本的な対応は大きな声できっぱりと拒否の意思を示すとともに、周囲の人に被害を知らせることです。声を上げることで、被害に気付いてもらいやすくなります。できれば加害者の手をつかんで周囲に「誰が痴漢なのか」をはっきり知らせ、確保のために協力してもらえればなお効果的です。
また、被害者の声を聞いたり、はっきりと加害行為を目撃した場合は、加害者の制止や確保に協力しましょう。
- たとえばこんな行動
- ◯共通
- 加害者の手を掴んで「やめてください」「やめなさい」と注意する
- ◯被害者
- 「触らないでください!」と声を上げる
3.被害後の対応について
痴漢被害後は、泣き寝入りをしないこと、一人で悩みを抱え込まないことが大切です。
痴漢被害者から相談を受けた場合は、相手の気持ちに十分寄り添った行動をお願いします。
痴漢行為を報告・相談する
駅係員又は巡回中の警察官等に痴漢行為があったことを知らせてください。
痴漢被害を相談できる相談機関もたくさんあります。家族や友人、学校の先生や勤務先の相談部署も含め、自分の相談しやすい相手に被害を相談してください。
被害者に寄り添う
痴漢被害について相談された時は、相手を否定せず、まずは話を最後までしっかり聞いてください。その上で、相手の希望を十分尊重し、一緒に行動することが理想的です。
「スカートが短すぎたのかもね」「もっと早起きして、混んでる電車を避けたほうが良いね」などのアドバイスは、たとえ善意からであっても、被害者に「自分が悪かったから痴漢にあったのかもしれない」という気持ちを抱かせてしまうため、注意が必要です。痴漢は犯罪であり、悪いのは100%加害者です。たとえ被害者がどんな服装をしていたとしても、いつ・どこにいたとしても、「痴漢をしていい」理由にはなりません。
4.気を付けていただきたいこと
リスクの高い行動は極力避けましょう
疑わしい行動をしている人をいきなり取り押さえる、痴漢行為を告発するなどの行動は冤罪問題に発展するリスクも高く、相手とのトラブルにつながる可能性もあります。
一番大切なのは、あなた自身の安全です。加害者と思しき人を直接刺激するような行為は極力避けてください。
また、被害現場の写真や動画を撮影する、撮影した写真や動画をSNSで拡散するなどの行為は関係者のプライバシーを侵害する恐れがあり、さらなるトラブルを生じる恐れがあります。
トラブルになりそうな場合は、絶対に一人で対応しないでください
場合によっては、加害者が逆上し、トラブルに発展する場合があります。身の危険を感じた際は決して一人で対応せず、躊躇なく乗務員や駅係員、巡回中の警察官に助けを求め、対応を委ねてください。
落ち着いて状況を記憶しておくと、警察に被害を届け出る際の役に立ちます
警察に被害を届け出ると、おおむね以下の流れで捜査が行われます(事案によって異なります)。
①警察官による現場の確認
②衣服など証拠品の確認
③警察署での事情聴取
④被害状況の再現見分の実施
きちんと対応するためにも、犯人の特徴(外見・服装など)やどういう被害を受けたかを落ち着いて記憶しておきましょう。
出典:「被害の届出をした後の捜査の流れ(概要)」(警察庁)