令和5年度痴漢被害実態把握調査
目次
都内の痴漢被害の実態及びその傾向を把握し、具体的な痴漢被害対策につなげるため、都として初の大規模な調査を実施しました。
本ページでは、調査結果の概要をお知らせしています。
調査報告書
- 痴漢被害実態把握調査 報告書概要版 PDF [1MB]
- 痴漢被害実態把握調査 報告書 PDF [2MB]
- 痴漢被害実態把握調査 アンケート調査報告書 PDF [3MB]
- 痴漢被害実態把握調査 ヒアリング調査報告書 PDF [1MB]
調査のポイント
痴漢被害遭遇率(生涯)
生涯に1度以上痴漢被害にあったことがある方(場所を問わず)は約30%でした。
女性だけの被害率は約45%に上り、男性も約9%が被害にあっています。

最初に痴漢被害にあった時期
電車内の被害経験においては、最初に被害にあった時期を小学生~大学生までとする回答が約76%を占めました。

痴漢被害にあった時間帯
電車内における痴漢被害の約54%が朝の通勤・通学時間帯(6:00~9:00)に集中していました。

痴漢被害にあいやすい状況・場所
時期 :6~7月(軽装になる時期)、4~5月(新学期・新年度)
混雑状況:混雑状況が高くなるほど被害が多い(身動きできない状況では減少)
車両の位置:改札・階段等に近い車両
車両内の位置:ドア付近、ドアとドアの間のスペース
その他 :1人で乗車している、制服を着用している 等
痴漢被害に遭遇した時の行動
- 被害者 :
- 被害者の4割は「我慢した・何もできなかった」
- 被害者の6割は、痴漢被害直後に誰にも連絡などしていない
- 目撃者 :
- 目撃者の5割弱が、痴漢被害を目撃した際に行動
- 行動しなかった理由の3割弱が「確証が持てなかった」
- 目撃者が行動する場合、痴漢被害の9 割超が止まる
注目ポイント
- 痴漢は、約3人に1人が被害経験を持つ大変身近な犯罪です。女性に限っては半数弱が被害を経験している一方、男性も1割弱が被害にあっており、性別問わず自分ごととして捉える必要があります。
- 被害者の約4割は被害発生時に「我慢した・何もできなかった」と回答しています。心情に関する設問への回答やヒアリング調査結果と合わせてこの結果を見るとき、恐怖心や驚きの中にいる被害者だけに対応を任せてしまってはいけないということがわかります。
- 一方、目撃者のうち5割弱は痴漢被害を目撃した際に何らかの行動をとっており、さらに目撃者の行動によって痴漢被害の9割超が止まったことがわかりました。「周囲の人が痴漢を防ぐ」という考え方を広め、周囲の介入行動を増やしていくことが重要です。
調査概要
目的
- 痴漢は車両内や駅構内など公共空間での発生が多く、加害者との面識がない割合が高いことから被害の申告をためらう暗数化しやすい犯罪である。
- そこで、若年層を中心に都内の痴漢被害の実態及びその傾向を調査し、その調査結果を踏まえて痴漢被害をなくすための具体的な対策につなげる。
痴漢の定義
迷惑防止条例で禁止される下記等の行為。
禁止される行為 | 内容 |
---|---|
痴漢行為 (5条1項1号) |
衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
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卑わいな言動 (5条1項3号)の一部 |
社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作。
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※盗撮行為(5条1項2号)は対象外。
web調査
- 被害者調査
2,219名(電車内2,010名、駅構内209名)
東京都内在住または東京都に通勤・通学等をする16~39歳の方で、通勤・通学に電車を用いる方のうち、電車内、駅構内で痴漢にあったことがある方 - 第三者調査
1,354名(電車内1,042名、駅構内312名)
東京都内在住または東京都に通勤・通学等をする16~69歳の方で、通勤・通学に電車を用いる方のうち、電車内、駅構内で痴漢を目撃または痴漢の現場に居合わせたことのある方
ヒアリング調査
- 被害経験者調査
【目的】 痴漢被害状況、被害時の心情、対応等に関する詳細な把握
【対象】 WEB調査(被害者調査)に協力いただい方から 20名 - 相談支援機関等調査
【目的】 痴漢被害の相談・支援状況、被害防止対策等の把握
【対象】 東京都内の相談支援機関、学校、鉄道事業者 8機関
有識者会議
【目的】 調査設計、調査内容、分析等に関する確認・助言
斉藤 章佳 氏 大船榎本クリニック 精神保健福祉部長
齋藤 梓 氏 上智大学 総合人間科学部 心理学科 准教授
島田 貴仁 氏 科学警察研究所 犯罪行動科学部 室長
調査項目・フロー
